日本財団の助成により、2023年度のメノキの活動として、「視覚障害者による新たな芸術価値と芸術体験の創造と地域ネットワークの構築」に取り組みました。
当団体の代表である全盲の彫刻家・三輪途道と群馬県立盲学校の生徒たちによる、触れる彫刻展を、群馬の代表的な地域芸術祭である中之条ビエンナーレの中で開催しました。網膜色素変性症で視覚を失ってからの作品を集め、多くの方に触って鑑賞していただきました。また、盲学校の生徒の作品の部屋では、長年障害のある子どもたちの美術教育に深く関わってこられた多胡宏氏(元群馬県立盲学校校長)の、視覚障害の児童への美術教育について語っていただいた動画を常時再生して、障害を持つ人たちがアートに関わる意味や、その感覚を分かち合うことが、健常者のアート体験をも深くすることなどについて考えてもらえるようにしました。1ヶ月の会期中に、1万人近い方に鑑賞していただき、好評をいただきました。
また、今回の事業では、音楽と美術の融合をする試みがなされ、2023年8月11日、群馬県立点字図書館を中心とした視覚障害者のためのネットワーク、まゆだまネットによる視覚障害者について広く知ってもらうためのイベント、まゆだまネットフェスタに参加し、音楽家の方たちの指導のもと、演奏会用の鈴や簡単な打楽器等の制作・参加型演奏会を行いました。また、同日に音楽家の東野珠実さん、伊勢友一さん、船本貴美子さんによるコンサートも行われました。視覚障害者の方をはじめ、そのご家族・ご友人や障害とアートに関するテーマに興味のある多くの方たちが参加されました。
8月11日の成果を、9月17日・18日に、群馬県の代表的な芸術祭である、中之条ビエンナーレの中のイベントとして、ミルキクアソブ星筐(ほしがたみ)として、音楽家の東野珠実さん、伊勢友一さん、檜垣智也さん、矢坂健司さんによる、最新の立体音響・音楽技術と最古の楽器である笙を使い、また当団体の代表である全盲の彫刻家である三輪途道の彫刻作品を振動させて、アイマスクをつけて、立体音響空間と振動する彫刻を触る体験や、アイマスクをした人や視覚障害の方をアテンドする体験を多くの方にしていただきました。